展覽主題:「古代天理の火葬墓たち-杣之内火葬墓と西山火葬墓群-」(天理大学附属天理参考館新春展)
展 期:2008年1月23日(Wed)~3月3日(Mon)
會 場:天理参考館3階企画展示室
展品解說:
日時:2008年1月25日(Fri)、2月26日(Wed)いずれも午後1時30分から
會場:天理参考館3階企画展示室
担当者:日野宏(天理参考館学芸員)
簡 介:
文献によれば、日本の火葬は、文武四(700)年に入唐留学僧の道昭を火葬したことに始まるとされています。その後、大宝三(703)年に持統天皇が天皇では初めて火葬され、以後、文武、元明、元正と歴代の天皇が火葬されています。火葬の風習は奈良時代の貴族の間にも広まり、火葬された骨は金銅製やガラス製、奈良三彩などの高価な蔵骨器や木櫃、土師器・須恵器の壺甕などに入れられ埋葬されました。時には蔵骨器を石製の外容器などに納めて埋納されることもありました。しかし、奈良時代にはまだ、こうした火葬の風習は限られた階層の人々の間で行われた葬法で一般的なものではありませんでした。
つづく平安時代以降、火葬の風習は全国的に広がってゆきます。蔵骨器には日常使われる甕や壺が多用され、蔵骨器が納まる程の穴を掘って埋納されました。
今回の新春展では火葬が始まり貴族層に広まってゆく段階の例として杣之内火葬墓を、そして、それが広く普及してゆく段階の例として、奈良時代から平安時代の西山火葬墓群を取り上げ、古代の火葬墓の世界をご紹介したいと思います。
杣之内火葬墓は版築と呼ばれる高度な工法を採用してつくられた火葬墓です。ここではその構築法や副葬品の中国唐代の海獣葡萄鏡をご覧頂き、奈良時代の貴族の葬制の一端を紹介します。また、西山火葬墓群では様々な種類の日常用の壺や甕が蔵骨器として利用されており、その多様性をご覧いただければと思います。このほか、当時としては珍しい蔵骨器用としてつくられた土師器の壺も展示します。