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講 題:「都市の共和制と多数決原理―古代ギリシャのポリス形成について―」(日文研學術講演.「王権と都市」)


主講人:エゴン フライグ(ロストク大学ハインリヒ・シュリーマン古代研究所教授)


日 時:200837日(Fri) 14:0016:30


會 場:国際日本文化研究センター内講堂(日文研ホール)


致 詞:片倉もとこ(日文研所長)


主持人:マルクス リュッターマン(日文研准教授)


內容簡介:


 古代ギリシャの都市国家(ポリス)には王権の不必要になった共同体が圧倒的に多い。何百年も絶え間なく存続した共和都市が多くある。このような都市は多様に発展して、貴族的な寡頭制に留まったものもあれば僭主制(独裁・圧政)を繰り返す都市もあり、多くは民主制を生み出した。そこで、ポリスに内在している発展性は一体如何にして芽生え得たかと、問題提起したい。
 結論から言えば、共同体の発展に頗る貢献した重要な要素は多数決原理の多用であったと思う。とりわけギリシャ人が植民都市を建設した頃(前八世紀)、緊急で明快な判断が頻繁に求められた時代が継続した。このような事情では、概して全会一致のような合意形成を待つ時間はなかった。むしろ反対の表意はあっても、最終的に少数派も従うという決定法でもって、政情の停滞を防ぐ必要があった。それに適う裁決方法は多数決、即ち票決である。多数決の定着した都市、アテネやドレロスではいわば「自己準拠的」な政治体制が出現した。つまり、貴族の評議会或いは民衆の集会において法律や基本法が都市民の名義によって採決された。それは共同体の自治の根幹であり、都市の共同意識やその団結感を強めたのである。
 一方、民衆集会において票決の準備として多数を獲得しようとする争論的な演説があったために、性急な判断もおこりがちで、または喧嘩に至って演説者も不調和にわかれ、分裂したあげく民衆も二派分裂を固めてしまう危険性があった。にもかかわらず多数派は政治判断を継続することができて、都市運営は滞らなかった。他方では、大概採決は早くて、議決の件数も多く、争論や立論が活発になり、演説の整理法もまた発達し、ヘレニズム文化一般に幅広く影響した。多く出土しているアゴラ(民衆の集う広場)はその議論文化の端的な証言を残している。  古代ギリシャの著明な合理的立論及び多彩な学問の形成はまさにポリスが生み出した「自己準拠的」自治の採決法(多数決原理)に反映され、若しくは起因していると思われる。


※講演は英語発表(同時通訳あり)です。


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