題名

日時

会場
春秋三伝婚姻記事の比較研究試論
2006-07-06(木)午後2時~4時
東京大学赤門総合研究棟 地下1階 第2演習室


報告者 小寺  敦(東アジア第一部門助教授)
司会者 玄  大松(東洋学研究情報センター助教授)
討論者 池澤  優(東京大学文学部助教授) 


要旨
 所謂周代宗法制は中国古代家族制度の根幹であり、周代の姓秩序の基礎とされる。その姓秩序は西周から春秋にかけての婚姻を規制する。春秋時代の支配者層の婚姻は、春秋三伝(『左氏伝(左伝)』・『公羊伝』・『穀梁伝』)、就中豊富な説話記事を含む『左伝』に多く記録されており、従来重要な一次史料として多くの研究者に利用されてきた。だが顧頡剛や津田左右吉らの議論にみられるように、『左伝』の史料的信頼性には古くから疑問が提示されており、今日でもこれを支持する見解が根強く存在する。その一方では、近年の出土資料の増加ということも手伝って、様々な研究者により、『左伝』に限らず史料の成立事情を明らかにしようとする努力がみられる。そして伝世文献の内容を基本的に信頼しようとする、顧頡剛たちとは正反対の考えも力を得ている。こうした先秦時代の史料をめぐる錯綜した状況下で、特定の見解を前提として研究を進めることも一つの見識といえようが、まずは利用する史料の史料的性格を可能な限り明らかにし、また現時点で明らかにできる限界を把握しておく方が、その後進めていく研究の信頼性が上がると思われる。
 そこで本報告では、史料的性格を明らかにする対象として、中国古代家族研究の重要な史料である春秋三伝をとりあげる。三伝の婚姻記事に焦点を当て、それらを比較検討することにより、それぞれの史料の特徴と差異を浮かび上がらせ、婚姻関連記事の範囲内ではあるが、三伝における大まかな傾向を把握する。その傾向からそれぞれの文献固有の特色を見出し、春秋戦国から秦漢帝国の成立に至る中国の国家形成の流れを勘案しつつ、先行研究の成果も振り返りながら、文献成立に至る事情を考察する。


 

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