渡邉義浩著,三国志学会監修,『三國志研究入門』
東京:日外アソシエーツ。2007年7月25日刊行。
A5判。270頁。ISBN:978-4-8169-2059-2。定価2,300円(本体2,190円)
內容簡介:
「三国志」研究の第一人者が、研究の進め方や論文執筆の手順を紹介する研究入門書です。歴史・文学・思想それぞれに焦点をあてており、正史『三国志』、小説『三国志演義』双方の理解が深まります。
本文は研究入門篇/研究動向篇/文献目録篇の3部構成。
研究入門篇:研究に必要な参考図書とその収集方法、中国や日本のデータベースの利用法、論文執筆の方法などを紹介。また三国時代の時代背景、「三国志」関連年表や人物事典も記載、「三国志」研究の基礎知識が学べます。
研究動向篇:歴史、思想・宗教、文学のテーマごとに主要な研究文献を精選して解説。「三国志」研究の最前線がわかる内容です。
文献目録篇:本書で紹介した研究文献の書誌事項を記載。
原序
21世紀は中国の時代である、と言われることがあります。現状は、それほど中国に楽観的ではありませんが、日本と中国との関係が、現在以上に深まることは間違いのないことでしょう。ところが、現在の日本と中国との関係は、歴史認識問題などを理由に、けっして良好とは言えません。日本人の中国への無関心、それと同様に中国人の日本への無関心は、相互の偏見と差別を助長するでしょう。そんなとき、「三国志」は、日本と中国とをつなぐ大きな架け橋になるのではないでしょうか。
こうした思いから、われわれは2006年に「三国志学会」を設立しました。三国志学会は、第一に、研究者だけではなく、三国志を愛するすべての人に開かれ、その交流の場となることを目指します。第二に、三国時代の歴史・文学・思想・宗教のみならず、『三国志演義』を中心とする三国志文化を学ぶすべてのものを結集することを目指します。第三に、日本・中国・韓国・東南アジアをはじめとするアジアの文化交流の架け橋となることも目指しています。
中国に関する他の分野に比べて、三国志に興味・関心を持っている人々の知識レベルは高く、深いものがあります。われわれ研究者から見ても、納得できるような興味深い考え方を持っている人も多くおられます。ただ、これまではせっかくの深い考えを研究レベルにまで高める方法を指し示す書籍がありませんでした。また、それを発表する場に恵まれていたとも思えません。三国志学会は、本書『三国志研究入門』を監修することにより、多くの人々に三国志研究への手引きを示し、また機関誌『三国志研究』への投稿をお待ちすることにより、発表の場を提供したいと考えております。ご入会・ご投稿など三国志学会の詳細については、ウェブページをご覧ください。
みなさまのご入会をお待ちしております。
2007年4月
三国志学会会長 狩野直禎
三国志学会副会長 金文京
三国志学会副会長 大上正美
三国志学会副会長 堀池信夫
目 次:
序
第一部 研究入門篇
I 三国志をより深く知るには
II 論文を書いてみよう
III 三国志の基礎知識
第二部 研究動向篇
Ⅰ 歴史
A 史料
『三国志』/『後漢書』/『晋書』/その他の史料/長沙走馬楼呉簡/考古資料
B 政治史
貴族制論/後漢政治史/曹魏政治史/蜀漢政治史/孫呉政治史/西晋
C 経済・法制史
経済/制度/法
II 思想・宗教
D 哲学・思想
資料・総論/儒教/玄学・老荘/人物評価・清談
E 道教・仏教
資料・総論/太平道と五斗米道/関帝信仰/仏教
III 文学
F 魏晋文学
資料・総論/建安文学/三曹の文学/建安の七子/阮籍とケイ康
G 三国志演義
資料・総論/羅貫中と『三国志演義』の成立/版本研究/テーマと人物/『三国志演義』の形成/三国志の受容
第三部 文献目録篇
跋