会議主題:「高松塚古墳シンポジウム 石室解体レポート」
主辦者:日本国文化庁、国立文化財機構奈良文化財研究所、国立文化財機構東京文化財研究所、奈良県教育委員会、明日香村
日 時:2008年1月26日(Sat)13:30~17:00
会 場:橿原文化会館大ホール(奈良県橿原市北八木町3-65-5、JR畝傍駅徒歩10分)
備 註:入場無料 要申込 申込締切 2008年1月17日消印有効 先着1000名
会議簡介:
高松塚古墳とは、7世紀末から8世紀初めに造られ、石室内部に星宿図、日目像、四神図、人物群像(女子群像、男子群像)が描かれた奈艮県明日香村にある壁画古墳です。
昭和47年に古墳内の石室に壁画が描かれていることが分かり、極彩色の貴重な壁画として昭和49年に国宝に指定されました。このような漆喰(しっくい)の上に多数の色彩で四神図等が描かれている古墳壁画は、国内では高松塚古墳壁画とキトラ古墳壁画の2つが発見されています。
高松塚古墳壁画については、点検・保存・修理のための施設を設置して、現地で保存対策を講じてぎました。しかし、石室内は、一時安定期はあったものの度重なるカビの被害が生じて、漆喰などの劣化が進みました。
さらに、平成15年に西壁の白虎の薄れなど壁画の劣化が指摘され、従来の保存方針が改めて問われることとなりました。これを受け、保存科学、考古学、美術史学など多くの分野の専門家により、保存対策の検討が進められました。
その結果、石室内でカビ・ムシなどによる食物連鎖を呈する状況になっていることが判明し、それまでの現地で保存するという方針を維持することは困難という結論に至り、複数の保存方策の中から、石室こと壁画を取り出して解体修理を行う方策が採られました。
高松塚古墳石室解体作業が平成19年に行われました。石室の石材ごと壁画を取り出すという、我が国の文化財保存の歴史の中でも前例のないもので、作業は大変困難を伴いましたが、安全かつ着実に進められ、壁画を損傷することなく、石材を仮設修理施設へ無事に搬入することができました。
この事業の成功は、考古学、保存科学、生物科学など様々な専門家の英知と、作業に当たった技術者の工夫と努力、そして、それらの運携によって達成されたものです。
本シンポジウムでは、発掘調査、解体作業、カビ等の生物被害対応、修理の状況など、一連の作業報告をそれぞれの担当者から行うとともに、この経験を生かしたう後の文化財保存の在り方を討議します。
議 程:
主催者代表挨拶(13:30~) 高塩 至(文化庁次長)
第1部【石室解体レボート】(13:35~15:40)
「国宝高松塚古墳壁画2006」(ビデオ上映)
「高松塚古墳の石室解体に至るまで」山崎秀保(文化庁文化財部古墳壁画室長)
「石室解体事業に伴う発掘調査」松村恵司(奈良文化研究所都城発掘調査部考古第一研究室長)
「壁画保存修理のための石室解体」肥塚隆保(奈良文化財研究所埋蔵文化財センター保存修復科学研究室長)
「古墳現地から修理施設への石材の搬送」高妻洋成(奈艮文化財研究所埋蔵文化財センター保存修復科学研究室主任研究員)
「生物被害への対応」三浦定俊(東京文化財研究所副所長)
「高松塚古墳壁画の修理」川野選渉(東京文化財研究所保存修復科学センター副センター長)
「高松塚古墳墳丘の仮整備」内藤敏也(文化庁文化財部記念物課長)
第2部【パネルディスカッション】(16:00~17:00)「文化財保存の更なる飛躍に向けて」
コーデイネーター 田辺征夫
パネリスト 河上 邦彦・川野邊 渉・肥塚 隆保・左野 勝司・松村 恵司・三浦 定俊・毛利 和雄