展覽主題:「日本建築は特異なのか-東アジアの宮殿・寺院・住宅-」


展 期:2009630(Tue)830(Sun)


展 場:国立歴史民俗博物館 企画展示室A(Sakura, Chiba, Japan)


入場料金:















一般



830560)円



高校生・大学生



450250)円



小・中学生



無料



(  )内は20名以上の団体
※総合展示もあわせてご覧になれます。
※毎週土曜日は高校生は入館無料です。


入館時間:每日930分~1700分(入館は1630分まで)


休 館:76(月)・13(月)・21(火)・27(月)・83(月)・17()24()810()は開館


主辦者:国立歴史民俗博物館


展覽主題介紹:


神社・寺院、御殿・住宅、城郭・民家・茶室などによる日本の建築文化は、縄文・弥生にはじまり、古代・中世・近世と日本列島内で受け継がれてきたもので、日本独自であり、日本固有のものであると考えられています。しかし果たして本当にそうなのでしょうか?東アジアに視野を広げてみると、中国や韓国の建築と日本建築はよく似た部分も多く、日本建築とは何が独自で何が固有のものなのか案外わからなくなってしまいます。このような観点にたって、あえて「特異」という言葉を使って日本の建築文化を考えようというのがこの企画展示の試みです。中国建築、韓国建築と比較して日本建築の何が独自なのかをまず考え、そこから東アジア建築の共通性、普遍性という問題を考えようとしています。


この場合の建築文化は、王権の象徴としての宮殿、宗教の拠点となる寺院などの宗教施設、そして人間の活動の場である住宅で代表させることができるものです。また、このような建築を実際に作り上げていく建築技術や生産体制までも含めて考えることにします。


建築は展示室に運ぶことができないので、建築模型や写真、関連資料などで示すことになります。建築を作り上げる大工道具も韓国と日本で比較して展示します。一般にはわかりにくいとされる建築の構造や組物(くみもの)については写真・図面だけではなくコンピュータ・グラフィックも用いて説明します。具体的な建築の比較を通して、建築を成り立たせていた人間文化のあり方全体を、東アジア世界と日本という観点から考える手がかりが提供できれば幸いです。


展覽內容:


1部 宮殿 王権のあり方からみた中国・韓国・日本


中国・韓国・日本それぞれの宮殿建築を取り上げ、宮殿の場である都城の違い、宮殿の建築配置、宮殿建築の形、さらに宮殿中心に置かれた王権の象徴である玉座の違い、特徴を写真や図面で示し、それぞれの王権のあり方を示します。


1.中国の宮殿
日本の都城・宮殿の手本としては唐の長安が知られていますが、ここでは明・清両代にわたる宮城である北京の紫禁城を取り上げます。南北に貫く中軸線上に天安門・端門・午門・太和門と並び、皇帝即位、詔書の頒布など重要な国家式典を挙行する政庁正殿の太和殿が正面にその偉容を見せます。太和殿には儀式の際に皇帝が座し、謁見する玉座があります。関連の儀礼も絵画などで示します。


2.韓国の宮殿
朝鮮王朝(1392-1910)の都城である漢城(ソウル)は、風水思想に従って四方を山で囲まれた場所に置かれました。正宮の景福宮は南北に長い配置ですが城壁は地形に従って曲線状になっています。宮殿内部は中国の制にならって朝庭を前に、寝殿を後ろに置いています。景福宮の正殿は勤政殿で王室の大きな行事や、各種の儀式に用いられました。景福宮南正門である光化門は、下部の石築部に三連のアーチを開き、上部に重層の楼閣を建てています。


3.日本の宮殿
平安宮大極殿を模して京都岡崎に平安神宮が建てられていますが、その考証の際に作られた模型を展示します。失われた平安宮の雰囲気を少し味わって下さい。その後、平安宮の宮殿機能を受け継いだ京都御所は、臨時の里内裏であったものが常態化したものです。現在の位置に定まったのは1331(元弘元)年のことで、その後何回も火災再建を経ており、現存の主要建物は1855(安政2)年に再建されたものです。京都御所南面の正門にあたる建礼門は、門扉を挟んで前後に二本ずつの柱をたてる四脚門という平安時代貴族住宅の格式の高い門の形式を守っています。


2部 寺院 - 宗教建築のあり方からみた中国・韓国・日本


日本では宗教建築というと仏教寺院と神社建築が中心ですが、中国では道教建築や儒教建築もあり、韓国でも儒教建築がむしろ中心かもしれません。そのような違いをわかるように展示します。


1.宗教建築の概念と種類
日本の宗教建築は寺院と神社が中心ですが、中国や韓国には神社建築はありません。 韓国では都市部に仏教寺院は少なく、孔子を祀る廟建築は各地に作られました。大きな住宅(両班住宅)の裏の廟建築に、その家の祖先が祀ってあり、仏壇で祖先を祀る日本とはかなり違います。中国では儒教が、皇帝の権威、社会の秩序・組織などに、理論的な説明を与えました。皇帝は祖先を祭る宗廟と、天に祈念する天壇、地の諸神に祈る社稷を建設しました。仏教は3世紀にインドから中国に伝わったのですが、中国の儒教的な世界を変えるほどの影響を与えることはありませんでした。道教は、もともとあった神仙思想や呪術的な信仰を組織化したもので、理念的な体系を持たないために、民間信仰も取り込み、広く普及しました。


 


2.宗教建築の形
日本の寺院建築には、中国唐からもたらされた古代以来の和様と、鎌倉時代に新たに当時の中国宋から導入された大仏様(天竺様)、禅宗様(唐様)という三つの形(様式)があります。韓国にも柱心包系、多心包系と呼ばれる形(様式)があり、それぞれ中国から導入されたとされています。これら韓国、日本の建築の淵源であった中国は広大であり、地域による建築の形はかなり多彩です。構造的にみても、中国の建築は北と南ではかなり異なっています。今回の展示では、地図と年表を組み合わせてその概要を説明します。


3.塔の形
仏教建築で用いられる塔も、日本と韓国・中国では全く形が違っています。日本で層塔と呼ばれている五重塔、三重塔などは、内部中心に心柱があって、床はなく上れません。中国では内部に床があって上層まで上れる形式が一般的です。また密教寺院で用いられる多宝塔という形式も日本独自であって、韓国や中国にはありません。


3部 住宅 -生活と儀式・儀礼からみた中国・韓国・日本


住宅は人間の日常生活の場であるとともに、住人の社会的な関係を表現する重要な意味ももっていました。現存する住宅の写真や図面などで東アジアの住宅建築を比較します。


1.東アジア住宅史の概略
住宅は支配層と庶民とでは大きく異なっています。中国の支配層の住宅としては、四合院(しごういん)という左右対称で中庭を囲んだ住宅形式が、場所や時代によって変化はあるものの、ほぼ共通の規範として受け継がれてきました。長安でも北京でも、他の主要都市でも四合院が用いられています。日本古代の寝殿造はこの影響下に成立したと考えられますが、左右対称の構成はくずれています。寝殿造が変化してできた書院造という近世武士の住宅は、座敷飾りという身分関係を表現する装置を発展させています。韓国の貴族住宅も中国の影響が考えられますが、両班階層のための住宅形式は内棟(アンチェ)と舎廊棟(サランチェ)という、家庭内の人間関係を表現する独自の空間構成を成立させています。


庶民住宅は日本でいう竪穴住居、高床住居に対応する住居形式が、時代はかなり違うもののそれぞれの地域で受け継がれています。中国では庶民住宅でも左右対称の形式が受け継がれているのに対して、韓国や日本ではくずれています。韓国では庶民住宅から普及したとされるオンドルが大きな特徴です。日本では17世紀に成立した民家の特徴として、主屋である一つの大きな棟に住宅機能がまとまってしまうことがあり、複数の比較的規模の小さな建物で構成される韓国や中国の建築とはかなり異なっています。


2.中国・韓国・日本の住宅を比べてみれば
中国・韓国・日本の三地域の住宅建築を比べると、中国と韓国がほぼ共通であって、日本とは大きく違う要素と、日本と韓国がよく似ていて、中国とは大きく違う要素があります。それらの要素を表にして比較します。


その1 [韓国・中国] 対 [日本]
住宅建築の基壇の有無、屋根葺き材、組物を用いるか用いないか、そして平面を奥行き方向に拡大する傾向があるかどうか、玄関という施設の有無、建具が扉か引き違い戸かどうかは、中国・韓国がほぼ共通で日本とは異なっています。

その2 [中国] 対 [日本・韓国
]
住宅建築の配置の対称性、中庭型住宅が中心で塀がない形と、敷地を塀で囲う形、土間で履き物を使うか、床をはって履き物を脱ぐか、椅子テーブルを使うか使わないかという点では、日本と韓国が共通で、中国とはかなり異なっています。


4部 建築技術と生産組織


建築を実際に建てる建築技術や、建築技術者の組織、すなわち建築生産体制も中国・韓国・日本ではかなり違っています。実際の大工道具や、建築現場の違いなどを比較します。


1.建築生産体制の日中韓の比較


建築技術の伝承と建築生産組織は日中韓でかなり違いがあります。三つの地域の社会体制の違いの反映でもあります。その一端を説明します。


2.韓国と日本の大工道具比較
中国・韓国で用いられている大工道具と、日本の大工道具はかなり違っています。ここでは韓国の大工道具と日本の大工道具を展示して、その違いを見ていただきたいと思います。


3.建築用語の中韓日比較と解説
一般にはなじみの少ない建築用語をこの際少しだけ覚えて下さい。日中韓の比較、そして英語の表現と対照するとわかりやすいかもしれません。


4.組物の解説
東アジア建築に共通して用いられる組物について、図を用いてわかりやすく解説します。



 

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