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森本淳著,『三国軍制と長沙呉簡』


東京:汲古書院,201211月。精裝,A5,300頁,ISBN9784762929922


 


內容簡介


本論集は三部構成により、後漢末から西晋初期にかけての軍制と地域社会、ならびに長沙呉簡に関する論考を収録する。軍制という視点から国家と地域社会の関係を論ずることが、本書の目的である。


 



第一部には、曹魏の軍制に関する論考を収める。第一章では、表面上は後漢の軍制の枠を逸脱することがなかった曹魏政権が、その内実においては、曹魏独自の制度に連なるものを着実に準備していたことを指摘する。曹氏による漢魏交替の実現の背景には、都督の独占による軍事力掌握があったが、宗室の人材枯渇にともない、明帝期には曹氏の都督独占が崩れた。それに代わって軍事力を手中にした司馬氏は、都督区の分割によって軍事力の分散を図るなど、大軍団を率いて地方に駐屯する都督を牽制し、軍事力のコントロールに腐心することになった。第二章から第四章では、こうした都督制の変化をとおして、曹魏政権崩壊の歴史的背景を分析する。つづく第五章では、都督制の変化にともない都督とそれに従う中級指揮官とのあいだで生じた心情的紐帯の希薄化を扱う。地方とくに辺境における民政や防備をそこなうことなく、地方長官の長期留任による在地化・自立化をいかに抑止するかという課題は、漢代においてすでに顕在化していたものであり、戦乱の時代であった漢魏交替期にあって、この「課題」はいっそう深刻かつ複雑な様相を呈するようになっていた。それを当時の軍制や官制とからめつつ論じ、その基礎のうえに立って、漢魏そして魏晋の交替劇を分析することが第一部の主旨である。


 


第二部では、地域社会の独自性に焦点を当てる。第一章においては、多数の羌族が住むという涼州の地域性が、漢魏交替期の当地に自立自衛の動きを招来した背景が論じられる。第二章では、曹魏時代の雍州を舞台に、都督・州牧を接点とした地域社会と中央集権との結びつきが示される。付章としたものは、第二章でも扱った曹真碑を用いた考察の記録である。


 


第三部には、長沙呉簡研究会の刊行物に寄稿した論著を収める。第一章では、「嘉禾吏民田家莂」の記載に依拠し、三世紀なかばの長沙周辺における民の居住状況について考察する。第二章は、呉簡の実見をふまえ、孫呉の下級軍事制度に対し初歩的検討を試みている。第三章は、長沙呉簡の出土後まもない時期の整理状況についての記録である。


 

 


目 次


 


序 池田雄一


第一部 曹魏軍制論
  第一章 曹魏軍制前史――曹操軍団拡大過程からみた一考察――
  第二章 曹魏における刺史と将軍
  第三章 曹氏政権の崩壊過程に関する一試論――軍事権との関係を中心に――
  第四章 魏晋無血革命論――都督の人選を中心として――
  第五章 曹魏・西晋期における中級指揮官について――都督の支配構造に関す
る一考察――


第二部 漢晋間の軍制と地域社会
  第一章 後漢末の涼州の動向
  第二章 曹魏政権下の「雍州」
  付 章 曹真期についての考察


第三部 長沙呉簡研究
  第一章 嘉禾吏民田家莂にみえる同姓同名に関する一考察
  第二章 長沙呉簡からみる孫呉の下級軍事制度考初編
  第三章 長沙における簡牘研究の現状と長沙呉簡に関する調査覚書
   後 記 阿部幸信
索 引

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