展覽主題:「長岡京遷都-桓武と激動の時代」


展覽日時:2007年10月10日~2007年12月2日9時30分~16時30分


会 場:国立歴史民俗博物館 企画展示室


展覽主旨:


今回の展示では、古代日本において律令国家の転換点となった8世紀末から9世紀初めの桓武朝を中心とする時期に焦点をあて、その前後で国家と社会がどのように変化していったかを王権と都市(都城)をテーマとして展示します。本展示は歴博の公募型共同研究「律令国家転換期の王権と都市」(研究代表 三重大学・山中章)の研究成果を分かり易いかたちで示すことを大きな目的としています。
近年の発掘成果によれば、長岡京(784)は、平城京(710)から平安京(794)への過渡的な都ではなく、すでに平安京の要素を多く先取りした先進的な都でした。しかし、なぜか十年で廃棄されてしまいます。桓武朝は、以後千年の首都となった平安京造営と「征夷」による国域の確定という意味で、前近代における中心と周縁の枠組みが定まる画期となった時代でもありました。この激動の時代を、王権・遷都・都市・戦争などの現代的視点から考えます。なお、ビジュアルに長岡京を理解していただくため、バーチャル平安京(文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」(立命館大学)・(株)キャドセンター制作、協力:京都市・京都アスニー・向日市教育委員会)を基礎として、長岡京版を製作し、展示場で映写するとともに、長岡京をウォークスルーする仕掛けにより体感していただきます。


展示主題內容及說明:


プロローグ-遷都・戦争・怨霊-
桓武朝という時代を、「造都と征夷」に代表させ、長岡京遷都および平安京遷都という二度の首都移転、さらには「征夷」と位置付けられた東北地域に対する四度の戦争に注目します。また、怨霊などに代表される古代人の精神生活についても、人形や人面墨書土器などの象徴的な遺物により示します。


第一章 王権の転換
この時期の王権の変化をさまざまな観点から考えます。ここでは、桓武天皇の系譜的な位置付け、平安京遷都と交通の関係、宮と儀式構造の変化、桓武陵についての諸説、桓武天皇・和気清麻呂・坂上田村麻呂らの人物イメージの時代的な変遷などをとりあげます。桓武朝を前後する時期は、王権の大きな転換期でした。


第二章 「征夷」と城柵の実像
坂上田村麻呂とアテルイの対立に象徴される東北での戦いを取り上げます。とりわけ「官軍」対「蝦夷」という従来の「征夷」のイメージを相対化し、城柵における行政と軍事のあり方や「蝦夷」の生活実態などを考えます。


第三章 長岡京から平安京へ-二度の遷都と都市生活-
長岡京と造営当初の平安京に焦点をあてて展示します。わずか「十年の都」である長岡京において、「千年の都」となった平安京をすでに準備し、斎宮や多賀城の都市計画にも影響を与えていたことを示します。長岡京遷都はまず副都難波京の廃止と連動して構想され、やがて首都平城京の解体にも及びます。長岡京の造営では、難波宮や平城宮からの瓦の移動がおこなわれ、リユースされていることが分かります。京内には東院に代表されるいくつかの離宮や寺院も存在しました。諸国から大量に流入する人や物に維持されて、京内では官人らを中心とした都市生活が展開します。住宅地の区画が均等化され、市で銭により物を買う貨幣経済やトイレ・大型の井戸など農村とは異なる衣食住の実態がありました。その一方では人面墨書土器や人形などを溝や井戸に流して京内の平安を願う精神生活もおこなわれました。


第四章 時代の移り変わり
奈良時代から平安時代への転換を文字文化の変容、印・銭貨・硯・暦などの変化、人から土地への支配方式の変化、特異な形式をもつ壺Gの移動に代表される物流の進展などから示します。


エピローグ -東国と「みやこ」-
長岡京や平安京で本格化した「みやこ」の意識が遠く東国にも波及し、国府を「みやこ」に見たてる小京都の意識が形成されることや、巨大な瓦塔から仏教文化の流入についても示します。


おもな展示資料


京都府上ノ庄田瓦窯出土鳳凰文鴟尾
京都府水垂遺跡出土人面墨書土器
京都府長岡京東院跡出土井戸枠
千葉県馬込遺跡ほか出土瓦塔
名古屋大学所蔵固関勅符
寛平遺誡
小野宮年中行事(裏書)
その他、長岡京・平安京・斎宮・多賀城などの発掘資料多数


 

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