高句麗研究財団、発足から2年で解散


朝鮮日報(ユ・ソクジェ記者)2006年8月9日

 中国の東北工程に対する韓国側の対応戦略に大きな穴が空くのではないか。

 高句麗研究財団が新設の北東アジア歴史財団に吸収・統合され、看板を下ろすことが政府の方針により決定した一方で、当の北東アジア歴史財団は理事長選出や組織構成、予算すら確定していない状態だ。中国が高句麗に続いて古朝鮮・扶余・渤海史まで歪曲(わいきょく)の水準を高めている状況で、このまま歴史問題の主導権を奪われるのではないかと憂慮する声が高まっている。

◆高句麗研究財団、わずか2年で看板を下ろす

 高句麗研究財団の金貞培(キム・ジョンベ)理事長は7日、「今月1日に開かれた理事会で、今月末に財団を解散することを決議した。今後、高句麗研究財団の人材・財産・事業はすべて北東アジア歴史財団に引き継がれる」と明らかにした。

 これにより、2004年に中国の東北工程への対応を目的として教育部傘下に設立された歴史研究機関である高句麗研究財団は、わずか2年でその看板を下ろすことになった。この決定に先立ち行われた本紙とのインタビューで金理事長は、「1年前から政府からの吸収・統合の圧力を受け続けていた。ようやく北方史研究が軌道に乗り始めていたのに、解散しなければならないのは残念だ」と語った。

◆北東アジア歴史財団は1年半にわたって五里霧中

 吸収・統合を巡る問題の発端は、そもそも大統領のひと言から始まった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は昨年3月、日本との独島(竹島)問題に火がつくと、「歴史歪曲問題や独島問題を長期的・体系的に担当する機関を設置せよ」と指示した。

 これを受け、青瓦台(大統領府)の金秉準(キム・ビョンジュン)政策室長(当時)を団長とする「北東アジアの平和のための正しい歴史確立企画団」が発足し、北東アジア歴史財団設立へ向けて準備してきた。当初、財団は外交部傘下に置かれる方針であったが、教育部傘下に変更され、今年5月2日に国会で法律案が通過した。

 しかし、「正しい歴史確立企画団」が発足してから1年半経つにもかかわらず、北東アジア歴史財団の実態は依然として五里霧中の状態だ。もともと、1年間の予算が300から400億ウォンになるものと予想されていたが、今年の予算は50から60億ウォン程度へと大幅に減らされる見通しだ。

 財団の組織は理事長と常任理事の下に戦略企画室、対外協力室、総務局などと、研究を担当する韓日関係室、韓中関係室、独島・海洋法室など6部署が置かれる予定であると伝えられているが、実際にはいまだに何も確定していない状態だと関係者らは語っている。「金秉準前教育副首相の進退問題が長引いているため、報告すら上げられないでいる」というのが実情だ。そのため、22日に予定されている北東アジア歴史財団の発足式すら、開催できるかどうか不確実な情勢だ。

◆政策と研究、同時に推進できるのか

 こんな中、たとえ今月中に北東アジア歴史財団が正式に発足されたとしても、依然として問題は残っている。北東アジア歴史財団は1つの機関で研究と政策の両方を担当すると明示されているため、ともすれば学問的な研究が国家政策によって左右される懸念が生じている。祥明大の申瀅植(シン・ヒョンシク)客員教授は「政策開発中心の機関になる場合、既存の高句麗研究財団の膨大な研究成果がどれほど引き継がれるのか疑問」だと語った。

 また、理事長を除いた高句麗研究財団の研究職員らは先月末、すべて北東アジア歴史財団の職員に内定されたが、採用計画の公告に「定員を超過する人員がいる場合には、欠員が発生するまで任用を延期することができる」と明示され、事実上、人員削減の途を開いていることも今後の問題となりうる余地がある。ある学者はこれについて、「明らかなのは、中国の歴史歪曲に対応する韓国側の本部が2006年8月現在なくなった状態だという事実」だと懸念を示した。

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