講 題:「後漢初期の『史記』とその補続者について」(第24回学習院大学史学会大会・総会)


主講人:中西大輔


日 時:200867日(Sat13:00~14:00


會 場:<第一会場>学習院大学百周年記念会館3階第1会議室


內容簡介:


前漢の成帝の時代頃より『史記』は様々な人物により補続が行われた。劉知幾の『史通』は、『史記』の補続者として、褚少孫・劉向・劉歆父子、馮商・衛衡・揚雄・史岑・梁審・肆仁・晋馮・段粛・金丹・馮衍・韋融・蕭奮・劉恂の名を挙げている。また、班固の父の班彪もまた『史記』を補続して『後伝』数十篇を著している。このうち、褚少孫から史岑については前漢後期~新の人物であることが判明している。史岑が新末の人物であることから考えると、梁審以下は概ね後漢初期の人物と見て良いであろう。褚少孫から史岑までの人物は朝廷に仕え、何らかの事績が伝わっているのに対し、梁審以下の人物は事績の伝わらない者がほとんどである。これは梁審以下の人物が微官であったか、あるいは在野の人物であったことを窺わせるものである。彼らが私的に『史記』を補続できたのは、成帝の時代に班固の大叔父に当たる班斿が賜った『史記』の副本が大きく関係していると考えられる。それを裏付けるように、梁審以下の補続者には三輔周辺の出身と見られる人物が多い。ただ、彼らに関する情報は極めて乏しく、先行研究は不明として何も言及していないものがほとんどである。しかし、班家との関わりや三輔の同姓の一族に注目し、細かく資料を検討していくと、学派・同郷・友人などの『史記』補続者たちの関係がおぼろげに見えてくる。補続者の中には古文派と思しき人物が散見し、賜書の所有者である班彪もまた古文派であった。その背景には三輔における古文学の流行があり、古文派の「実事求是」の精神が『史記』補続の土壌となったことを窺わせる。梁審以下の補続者たちは、それぞれ独自に紀伝を作ったというよりも、班彪との個人的人脈や古文派同士の繋がりを通じて班家を訪れて賜書を閲覧し、各自が列伝やその元資料を作り、班彪はその提供を受け、『後伝』を編纂したというのが実情に近いと考えられる。

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